吸光光度計

吸光光度計(Spectrophotometer)は、物質の吸光度を測定する装置です。

特定の波長の光を試料に当て、その吸収量を測定することで試料中の成分濃度を分析します。

吸光光度計とは

吸光光度計は、光が物質に吸収される特性を利用しています。光が物質を通過するとき、物質の分子は特定の波長の光を吸収します。吸光光度計は、この吸収された光の量を測定し、試料中の成分濃度を定量化します。ビール-ランバートの法則を用いることで、吸光度と濃度の関係を明確にします。

ビール-ランバートの法則は、吸光度と物質の濃度、光路長の関係を示すもので、以下の式で表されます。

A = ε・c・l

ここで、Aは吸光度、εはモル吸光係数、cは濃度、lは光路長を表します。

吸光光度計の構成要素

    1. 光源
  • 吸光光度計の光源は、特定の波長範囲の光を提供するために使用されます。一般的には、ハロゲンランプや重水素ランプが使用されます。ハロゲンランプは可視光領域(400〜700nm)の光を提供し、重水素ランプは紫外領域(190〜400nm)の光を提供します。光源の安定性と強度は、測定の精度に大きく影響します。
    2. モノクロメーター
  • モノクロメーターは、光源から発生した広範囲の波長の光を特定の波長に分けるための装置です。プリズムや回折格子を使用して光を分光し、特定の波長の光を選択します。プリズムは光を屈折させて分光し、回折格子は光を干渉させて分光します。回折格子は高い分解能を持ち、より精密な測定が可能です。
    3. 試料セル
  • 試料セルは、光が通過する試料を保持するための容器です。通常はガラスや石英でできており、試料セルの長さ(光路長)は測定精度に影響を与えます。ガラスセルは可視光領域の測定に使用され、石英セルは紫外光領域の測定に適しています。試料セルの清潔さと正確な取り扱いが重要です。
    4. 検出器
  • 検出器は、試料を通過した光を検出し、その強度を測定する装置です。光電子増倍管(PMT)やフォトダイオードが一般的に使用されます。光電子増倍管は非常に感度が高く、微弱な光の検出に適しています。フォトダイオードは広範囲の光強度を検出でき、安定した測定が可能です。
    5. デジタル表示装置
  • 検出器からの信号を処理し、吸光度として表示します。データの記録や解析も行える場合があります。

測定手順

    1. キャリブレーション
  • キャリブレーションは、吸光光度計の測定精度を確保するために必要なステップです。まず、装置のゼロ点調整を行います。これは、光源の光を直接検出器に当て、装置のゼロ点を設定するプロセスです。次に、既知の濃度の標準試料を用いてキャリブレーションを行います。標準試料を測定することで、装置の精度を確認し、必要に応じて調整を行います。
    2. 試料の準備
  • 測定する試料を試料セルに入れます。試料は均一に混合され、気泡や不純物がない状態にします。試料が均一になるように十分に混合し、試料セルが清潔であることを確認します。
    3. 波長の選択
  • 測定する物質に最適な波長を選択します。これは、物質の吸収スペクトルを基に決定されます。スペクトルスキャンを行い、試料の吸収スペクトルを測定し、最適な波長を選びます。この波長選択が、測定の正確さに直接影響します。
    4. 測定
  • 選択した波長の光を試料に当て、その吸光度を測定します。デジタル表示装置に吸光度が表示されます。
    5. データ解析
  • 測定した吸光度と既知の濃度の関係から、試料中の成分濃度を算出します。既知の濃度の標準試料を用いて標準曲線を作成し、未知試料の濃度を求めます。